目的地を決めずに走る散歩ツーリング

目的地を決めずに走る散歩ツーリング

2026年3月14日 オフ 投稿者: SLhap7uK

地図を持たずに家を出る贅沢

ツーリングといえば、普通はガイドブックやスマホで目的地を決めて、ルートを確認してから出かけるものだと思います。僕も最初は、有名な観光地や海を目指して走ることがツーリングの醍醐味だと思っていました。でも、モンキーに乗っていると、遠くへ行くことだけが正解じゃないような気がしてくるのです。小さい車体にまたがってエンジンをかけると、まるでスニーカーを履いて近所を散歩するような気軽さで走り出したくなります。そこで最近ハマっているのが、あえて目的地を決めずに家を出る「散歩ツーリング」です。

ルールは簡単で、その時の気分で右に曲がるか左に曲がるかを決めるだけです。「あっちの空が青いから東へ行こう」とか「あの信号が青だったから直進しよう」といった具合に、風まかせで走ります。大きなバイクだと、一度ルートを外れると元の道に戻るのが大変だったり、狭い道に入り込んでしまったときのUターンに気を使ったりしますが、モンキーならそんな心配は無用です。足つきもいいですし車体も軽いので、行き止まりになってもヒョイっと向きを変えられます。この「いつでも引き返せる」という安心感が、心の余裕を生んでくれるのだと思います。ナビの音声案内に従うのではなく、自分の直感だけで走る時間は、普段学校や部活で時間に追われている僕にとって、とても自由で贅沢なひとときに感じられます。

いつもの街の知らない顔

散歩ツーリングの面白いところは、見慣れたはずの地元や隣町で新しい発見があることです。国道やバイパスといった大きな道は車で走るのと同じ景色しか見えませんが、あえて一本裏の路地に入ってみると、世界がガラリと変わります。車一台がやっと通れるような細い道を進んでいくと、急に昔ながらの駄菓子屋さんが現れたり、立派な神社がひっそりと佇んでいたりします。「こんなところにこんなお店があったんだ」という驚きは、スピードを出して走っていると絶対に見つけられないものです。

モンキーのトコトコというのんびりした排気音は、住宅街や田舎道にとてもよく馴染みます。スピードが出ないことが逆にメリットになり、道端に咲いている花や、面白い形をした看板、飼い主と散歩している犬の表情まで、いろいろな情報が目に飛び込んできます。ときには、川沿いの土手道をひたすら走ってみることもあります。信号もなく、ただ川の流れと並走していると、頭の中が空っぽになってリフレッシュできます。有名な絶景スポットに行くのも感動しますが、自分だけが見つけた名もなき風景には、また違った愛着が湧いてくるものです。誰も知らない秘密基地を見つけた子供の頃のようなワクワク感が、散歩ツーリングには詰まっています。

缶コーヒーが最高のごちそう

目的地がないツーリングなので、食事も特に決めずに適当に済ませることが多いです。というよりも、気に入った場所でバイクを停めて休憩すること自体がメインイベントになります。僕がよくやるのは、景色のいい場所にある自動販売機を見つけて、そこで缶コーヒーを買って飲むことです。海が見える堤防でもいいですし、緑に囲まれた公園のベンチでも構いません。エンジンを止めて、熱を持ったエンジンがキンキンと冷めていく音を聞きながら飲む缶コーヒーは、不思議と家で飲む何倍も美味しく感じます。

おしゃれなカフェに入って休憩するのも良いですが、一人でモンキーに乗っているときは、誰にも気を使わずに道端でぼんやりするのが性に合っています。スマホを見るわけでもなく、ただ自分のバイクを眺めながら「ここのフェンダーのカーブがいいんだよな」なんて思いに耽る時間は、バイク乗りだけの特権かもしれません。日が傾いてきたら、それが帰宅の合図です。遠出をしたわけではないので、体力的にも余裕がありますし、「帰らなきゃ」というプレッシャーもありません。家に帰り着いてからも心地よい余韻が残っていて、その日の夜はぐっすりと眠れます。何もしない、どこにも行かない、ただ走るだけの散歩ツーリング。モンキーという相棒がいるからこそ楽しめる、最高の休日の過ごし方だと僕は思っています。